Epistula ad mē

美というものは、芸術と人間の霊魂の問題である

french films

『聖バンサン(Monsieur Vincent)』1947

本日は聖ビンセンチオ・ア・パウロ司祭の記念日。ミサには行けなかったが、1947年のフランス映画『聖バンサン』を観て、彼に思いを致すことにした。 モーリス・クロシュ監督作。クロード・ルノワール撮影。幾つか映画賞を受賞した古典的作品であり、1995年ヨ…

ゴダール『カルメンという名の女(Prénom Carmen)』1983

ジャン=リュック・ゴダールが死んだ。まだ生きていたことに愕いた。あとヌーヴェルバーグで存命なのはクロード・ルルーシュくらい? 私は一時期フランス映画に凝っていた。だからゴダールの作品は少なからず観た。否、「フランス映画好き」を名乗る為に、観ざ…

『オフィサー・アンド・スパイ(J'accuse)』2019

仕事終わりに池袋のシネマで。 『戦場のピアニスト』、『マクベス』のロマン・ポランスキー(Roman Polanski)監督作。ヴェネツィアで銀獅子。映画祭で上映後はスタンディングオヴェーションを受けたとか。 19世紀末フランスのドレフュス事件を題材とする。原…

『二十四時間の情事(Hiroshima mon amour)』1959

アラン・レネ監督作。『去年マリエンバードで』程ではないが難解。愛も戦争も知らぬ私にとっては特に。ストーリー性が弱くイメージの連続である。ドビュッシーの音楽のよう。強いてあらすじを述べるとすれば、戦争によって心に傷を負った女と男の話。 背景音…

『去年マリエンバートで(L'Année dernière à Marienbad)』1961

作品名洒落ていると思う。 ヌーヴェル・ヴァーグ主流のカイエ派に対し、左岸派を代表する、アラン・レネ(Alain Resnais)監督による作品。ヴェネツィアで金獅子賞。ちなみにカンヌ国際映画祭は、レネの左翼的な政治的見解を理由に、本作品の上映を拒否した。 …

『ダントン(Danton)』1983

アンジェイ・ワイダ(Andrzej Wajda)監督によるフランス・ポーランド合作の伝記映画。時は大革命期、ロベスピエールによる恐怖政治の最中、ダントン処刑までの数週間を描く。配給はフランスのゴーモン社。セザール賞を受賞。 なんとも特徴的なのは、演者たち…

『ノートルダムのせむし男(The hunchback of Notre Dame)』1956

『寄宿舎; 悲しみの天使(Les amities particulieres)』のジャン・ドラノワ監督作。ヴィクトル・ユゴーの『ノートルダム・ド・パリ』を原作とする、古き良き時代のフランス映画。せむし男を演ずるのはアンソニー・クインズ、エスメラルダを演ずるのはジーナ・…

ドゥミ『都会の一部屋(Une chambre en ville)』1982

2022年映画初め。ジャック・ドゥミ監督作。ヒロインは『家族の肖像』『1900年』に出演しているドミニク・サンダ。『ロシュフォールの恋人たち』に引続きダニエル・ダリュー、ミシェル・ピコリ(例に漏れず変態役)が出演。ドゥミは部屋の装飾や登場人物の服飾…

ロメール『クレールの膝(Le genou de Claire)』1970

エリック・ロメール監督作。駄作。何故この監督は、不自然で愚にもつかぬ、青臭い議論を好むのだろう。大嫌いだ。

ロメール『モード家の一夜(Ma nuit chez Maud)』1969

エリック・ロメール(Éric Rohmer)監督作。ジャン=ルイ・トランティニャン主演。私はこの映画監督が苦手、青臭いから。

『田舎司祭の日記(Journal d'un curé de campagne)』1951

ロベール・ブレッソン(Robert Bresson)監督作。早稲田松竹で観賞。云わずとしれたジョルジュ・ベルナトスの同名小説を下敷きにしている。 フランス北部の小さな村に赴任した若い司祭。信仰が形骸化する時代。村人からは受け容れられず、信仰への確信も揺らぎ…

『フレンチ・カンカン(French cancan)』1954

ジャン・ルノワール監督作。フランソワーズ・アルヌール(Françoise Arnoul)主演、美人だ。彼女は今年の夏に亡くなった。フレンチ・カンカンとムーラン・ルージュの誕生を描く華やかな(騒がしい)映画。「良い話」で終わらせない所がルノワール。それに最後の…

『サムライ(Le Samouraï)』1967

ジャン・ピエール・メルヴィル監督作。アラン・ドロンが殺し屋を演じる。これほど言葉少ななフランス映画も珍しい。 三島由紀夫の評価を引用。 「〈サムライ〉は、沈黙と直感と行為とを扱った、非フランス的な作品で、言葉は何ら重要でなく、情感は久々の濡…

『イヴォンヌの香り(Le Parfum d'Yvonne)』1994

パトリス・ルコント(Patrice Leconte)監督作。ルコントの脚フェチ。凡そ無気力で厭世的な男の理想を詰込んだような作品。 有閑階級の男(イポリット・ジラルド,Hippolyte Girardot)が避暑地で女と出逢う。美しい女性を思うようにすることなどできない。 なん…

『ナチス第三の男(The man with the iron heart)』2017

ローラン・ビネ(Laurent Binet)原作の小説『HHhH』を映像化したもので、フランス、イギリス、ベルギーの合作。ナチスの親衛隊ラインハルト・ハイドリヒの伝記であると同時に、チェコのレジスタンスを描いている。全編英語。 説教臭くないので見易い。かなり…

『タクシー(Taxi)』1998

『レオン』リュック・ベッソンが脚本を担当しているカー・アクション映画。 脇役の俳優、どこかでみたことがあると思い調べた。フィリップ・ドゥ・ジャネラン(Philippe du Janerand)という名らしい。『コーラス』2004に脇役として出演しているのを確認した。…

『息子のまなざし(Le Fils)』2002

ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ(Jean-Pierre and Luc Dardenne)監督作。オリヴィエ・グルメが主演。 職業訓練所で木工を教える男。彼には妻と幼い息子がいたが、殺人事件で息子を喪った後に妻とも別れ、孤独に生きていた。そんなある日、1人の少年が…

『バルタザールどこへ行く(Au Hasard Balthazar)』1966

ロベール・ブレッソン(Robert Bresson)監督作。少女マリーとバルタザール(東方三賢者の名だ)と名付けられたロバの受難を描く。無駄を削ぎ落した禁欲的映像と強い音への拘り(例えば跫音、ガラスが割れる音、リンゴを齧る音)が印象的。 ロバを主役に用いた作品…

『終電車(Le dernier metro)』1980

円熟の極みに達したフランソワ・トリュフォー(François Truffaut)監督。彼が亡くなる4年前の作品。セザール賞を総なめにした。 占領下のパリ。モンマルトル劇場には「南米に逃れた」とされているユダヤの劇場支配人が隠れている。彼はカトリーヌ・ドヌーヴ(C…

『橋の上の娘(La fille sur le pont)』1999

パトリス・ルコント監督作のモノクローム映画。テイストとしてはコメディになるのか。それにしては始まりが深刻過ぎるが。俳優もダニエル・オートゥイユ(Daniel Auteuil)にヴァネッサ・パラディ(Vanessa Paradis)と豪華。総合してアメリカ映画みたい。 橋の…

『ランジェ公爵夫人(Ne touchez pas la hache)』2007

ジャック・リヴェット監督。原作は1834年のバルザックの小説『ランジェ公爵夫人(La Duchesse de Langeais)』。“Ne touchez pas la hache”は「斧に触れてはいけない」という意味。見応えのある映画だ。リヴェットお得意のコスチュームプレイが活きている。

『暮れ逢い(une promesse)』2013

パトリス・ルコント(Patrice Leconte)監督作。脚本はオーストリア=ハンガリーの作家シュテファン・ツヴァイク(Stefan Zweig)の小説 “Reise in die Vergangenheit(過去への旅路)“。 製鉄会社オーナーの秘書となった青年。その手腕で信用を勝ち得た彼が恋した…

『聖少女アンナ(Un poison violent)』2010

カテル・キレヴェレ(Katell Quillévéré)監督作。堅信式を迎える娘とその家族の話。 祖父は病気で床に臥せており死が近い。両親は離婚の危機にある。自身は幼馴染の少年と関係を結んだ。この状況下堅信を受けることに戸惑う彼女を描く。 フランス映画だがイン…

『髪結いの亭主(Le Mari de la coiffeuse)』1990

パトリス・ルコント(Patrice Leconte)監督作。ジャン・ロシュフォール主演。 髪結いの亭主になることを夢みていたアントワーヌ少年。夢を叶えた彼は妻マチルドとの官能に耽る。幸福を喪う恐怖。

『仕立て屋の恋(Monsieur Hire)』1989

パトリス・ルコント(Patrice Leconte)監督作。ミシェル・ブラン(Michel Blanc)が演じる、嫌われ者の仕立て屋の恋を描く。原作はジョルジュ・シムノンの同名小説Les Fiançailles de Mr Hire。救われない話だが僕は好きだ。やはり都合の良い女性なんて存在しな…

『抵抗(Un condamné à mort s'est échappé ou le vent souffle où il veut)』1956

ロベール・ブレッソン(Robert Bresson)監督作。“Un condamné à mort s'est échappé ou le vent souffle où il veut”訳すと『死刑囚は逃げた、あるいは風は吹きたい所で吹く』。「あるいは」で2つの主題を掲げるのは、昔のフランス小説などによくみられる例。…

『気狂いピエロ(Pierrot Le Fou)』1965

ジャン=リュック・ゴダール監督作。ゴダール作品にお馴染みのアンナ・カリーナ、ジャン=ポール・ベルモンドが主演。支離滅裂な内容であるが、それでも観ていられるのは不思議だと思う。作中初め、アメリカのフィルムディレクターなる人物が「映画とは戦場の…

『男と女 人生最良の日々(Les plus belles années d'une vie)』2019

クロード・ルルーシュ監督作。『男と女』から53年、アヌーク・エーメとジャン=ルイ・トランティニャンが三度あの2人を演じる。 「過去の記憶」と、「ジャン=ルイの夢」と、「現在の話」が交差して時系列が複雑なのは、弱ったジャン=ルイの記憶を表現している…

『勝手にしやがれ(À bout de souffle)』1959

「ボギー…」 ジャン=リュック・ゴダール(Jean-Luc Godard)監督作。ヌーヴェル・ヴァーグの訪れを印象付ける、個性的なカメラワークと編集技法を、ゴダールが初めて実践した長編映画。

『スリ(Pickpocket)』1959

ロベール・ブレッソン(Robert Bresson)監督作。 「仕事がなく貧しい自分には法を犯すことが許されている」と述べてスリを行う青年。極めて冷静に、彼の世界をそのままスクリーンに描き上げる。ブレッソンの独創性が光る作品。 マリカ・グリーン(Marika Green…