Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

Music

シューマン『交響曲第4番ニ短調op.120』1841

www.youtube.com 1841年のクララの誕生日。ロベルトが妻に捧げた交響曲。力強く舞踏的な第3楽章が好み。

ウェーバー『ピアノソナタ第4番ホ短調』

www.youtube.com カール・マリア・フォン・ウェーバー(Carl Maria Friedrich Ernst von Weber)は『魔弾の射手』しか知らない私に、フランス語の先生がおすすめしてくれた。貸してもらったのはディノ・チアーニ(Dino Ciani)の録音。ウェーバーが最後に遺した4…

アントン・ウェーベルン『弦楽四重奏のための緩徐楽章』1905

www.youtube.com シェーンベルクと同列に語られ、「前衛」のイメージが強いアントン・フォン・ウェーベルン(Anton von Webern)。しかしながらこの『緩徐楽章』は、彼が十二音技法を用ゐる前の作品であり、ブラームスを思はせる森厳甘美なメロディーが特徴。…

グノー「トゥーレの王(Il était un roi de Thulé)」『ファウスト(Faust)』1859

www.youtube.com 『ファウスト』第3幕第6場で歌われる童謡風の歌曲。 Il était un roi de Thuléトゥーレの王は、Qui, jusqu'à la tombe fidèle,死ぬ時まで誠実な方で、Eut(had), en souvenir de sa belle,妃の形見として、Une coupe en or ciselé(vessel)! …

フランス語でアヴェ・マリア(Je vous salue, Marie)

Je vous salue, Marie chanté a cappella ノートルダム大聖堂が燃えた日、シテ島を望む河岸に人々が集まって、アヴェ・マリアを唱えていた。その時歌われた旋律がこれであった。 Je vous salue, Marie, comblée de grâce聖寵満ちみてるマリア Le Seigneur es…

イングランド童謡『笛吹の息子トム(Tom The Piper's Son)』

Over the Hills and Far Away - 17th Century English Traditional イングランドの童謡。先日紹介した『羊を探して(Searching for Lambs)』よりも有名だ。 ledilettante.hatenablog.com Tom, he was a piper’s son.笛吹の息子トムはHe learnt to play when h…

ブラームスの愛(2)

1853年9月ヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムの紹介でブラームスはシューマン夫妻の家庭を訪ねた。シューマンはブラームスの楽才を認め、友情の手を差し伸べた。ブラームスはシューマンのはからいに深く感謝し、彼に対し「わが主」と呼び掛けている。ブラ…

ブラームスの愛(1)

愛を1本の線で表現するのならば、その極には肉と宗教がある。崇高な愛は宗教の形を取り、それは真の意味で利他的なイエスの愛に限りなく近い。 ブラームスといえば、バッハ、ベートーベンと並んでドイツの3大Bと称される大作曲家であり、厳粛なイメージに満…

「La Nuit」『コーラス(Les Choristes)』2004より

www.youtube.com 『春の凱歌(La Cage aux rossignols)』1945と、そのリメイク映画『コーラス(Les Choristes)』2004の挿入歌 Oh nuit, viens apporter à la terre夜よ、この地にもたらしておくれLe calme enchantement de ton mystèreきみの秘密が織りなす穏…

典礼聖歌352番『聖霊の続唱』

www.youtube.com みなさんは聖霊に祈りを捧げていますか、とシスターは仰った。なるほど、忘れがちである。本日紹介する『聖霊の続唱(Veni Sancte Spiritus)』は、復活祭から数えて50日目、五旬節、ペンテコステの日に歌われる続唱(セクエンツィア)。 聖霊来…

『久しく待ちにし(Veni, veni Emmanuel)』

www.youtube.com 中世に起源を持つ聖歌。19世紀にイングランド国教会の司祭によって英譯が為され、広く普及した。待降節第3主日に歌われることが多い。"Gaude"の一語が「悦びの主日」にふさわしいから。 Veni, veni Emmanuel.来ませインマヌエルCaptivum sol…

ヘンリー・パーセル『ディドとエネアス(Dido and Aeneas)』1689

www.youtube.com 17世紀イングランドの作曲家ヘンリー・パーセル(Henry Purcell)によるオペラ。フーガ調の序曲が厳粛に響く。 英国人の作曲で、且つ英語のリブレットを持つオペラは、パーセル以降ブリテンの時代までないのではないか。真の意味での「イギリ…

『愛国行進曲』1937

www.youtube.com 愛國行進曲は1937年、支那事変の勃発と国家総動員法が制定された年に国威発揚を狙い作られた国民歌。歌詞は公募。 映像は1943年の映画『音楽大進軍』のフィナーレ。在りし日の帝国劇場。ソプラノに瀧田菊江、テノールには藤原義江を起用。 …

『God rest ye merry, gentlemen(よのひとわするな)』

www.youtube.com イングランドのクリスマスキャロル。16世紀には、既に歌われていたという。歌詞に用いられる"tidings"の語が何とも面白い。もともと「"tide"=潮」は「"time"=時」と同義の単語であり、これが"tidings"の形になることで「便り」という意味に…

ソビエト民謡『タリャーノチカ(тальяночка)』

www.youtube.com ソビエトロシアの民謡。作曲されたのは第二次大戦時、歌詞の背景にも戦争がある。 曲名の「タリャーノチカ」とはアコーディオンのような楽器のこと。指小辞(diminitive)となっているので、「小さなアコーディオン」と云う意味合いか。ロシア…

讃美歌21 454番「愛する神にのみ」

久しぶりの更新となる。授業が始まると忙しくていけない。 紹介するのはGeorge Neumark(1621-1681)の "Wer nur den lieben Gott läßt walten"。ノイマルクはドイツ中央部ランゲルザルツァの出身、詩人であり讃美歌の作曲家であった。本作品が書かれたのは164…

ミハイル・グリンカ『皇帝に捧げた命(Жизнь за царя)』1836

『皇帝に捧げた命(Жизнь за царя)』はミハイル・グリンカ(Михаил Иванович Глинка)が作曲したロシア・オペラである。ロシア情緒が溢れるこの作品は、ロシア国民主義音楽の先駆的存在と云えよう。専制・正教・国民性からなる「官製国民性」の原理と合致する作…

ヴェルディ「ありがとう、親愛なる友よ(Mercè, dilette amiche)」『シチリア島の夕べの祈り(I vespri siciliani)』より

オペラ『シチリア島の夕べの祈り』より、ソプラノのアリア「ありがとう、愛する友よ(Mercè, dilette amiche)」。ボレロ調の音楽は劇舞台パレルモのイメージにぴったりだ。太陽輝くティレニア海の情景が目に浮かぶ。イタリアを愛するヴェルディにしか書けない…

ケルビーニ『メデア(Médée)』1797

www.youtube.com 『メデイア』は古典音楽から初期ロマン派音楽への過渡期に活躍した伊太利の作曲家、ルイージ・ケルビーニ(Luigi Cherubini)のオペラ。初演は1797年、パリにて。 古典の厳粛さを保ちながらも、モーツァルトとは明確に異なる、人間の「感情」…

ブリテン「この幼子は(This little babe)」『キャロルの祭典(A Ceremony of Carols)』1943

先日扱った「子守唄(Balulalow)」と同じく、ブリテン『キャロルの祭典』より。地獄を思わせる暗いアプローチ。音楽にある激しきポリリズムは、イエスとサタンの戦い。我々に対しアンガージュマンを呼びかける。歌詞は16世紀イングランドの聖職者ロバート・サ…

ブリテン「子守歌(Balulalow)」『キャロルの祭典(A Ceremony of Carols)』1943

ブリテンの『キャロルの祭典(A ceremony for Carols)』の中の一曲である。ソロを担当しているのは、エドワード・バロー(Edward Burrowe)。著名なボーイ・ソプラノ、 歌詞はスコットランドの詩人ウェッダーバーン兄弟(James Wedderburn, John Wedderburn, Rob…