Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

2020-10-04から1日間の記事一覧

20201004日記

三島の定義に従うなら、僕は純然たる「文人」になりたい。すなわち「花と散る」人種ではなく、「不朽の花」を育てる人種だ。僕は昔から桜が嫌いだった。いつ散ってしまうか分からぬ儚さに心を乱されることが嫌いだった。僕が求めるのは永遠、ギリシアやロー…

三島由紀夫「自衛隊二分論」1969

三島がいうところの「現実主義的情勢論」しか論じられない私にとってみれば、「自主独立の精神」など眉唾物であるが。 主張の概略日本の「自主防衛論」は「情勢論」。全く現実的な見地でいえば、アメリカの強大な軍備に守られてこそ、ようやく日本の自主防衛…

三島由紀夫『私の遍歴時代』1963

三島自身の17歳から26歳までの古典主義への熱情や、人との出会い、作家としての歩みを38歳の時点で振り返る。1963年の1月から10月にかけて『東京新聞』上で発表された。 戦中戦後の作者の心情は、大切に嚙み砕いてゆかねばならない。殊に終戦のことは豊饒の…

三島由紀夫『太陽と鉄』1968

1965年から1968年に渡って佐伯彰一らの文芸同人雑誌『批評』に連載された。晩年を生きる三島が「芸術と生活、文体と行動倫理との統一」を図るにあたり、その根底に置く観念が紹介されている重要な作品である。 その密度と、論理的飛躍が相俟って極めて難解だ…