Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

2020-05-26から1日間の記事一覧

三島由紀夫『午後の曳航』第二部 冬

夢想の中では、栄光と死と女は、つねに三位一体だった。しかし女が獲られると、あとの二つは沖の彼方へ遠ざかり、あの鯨のような悲しげな咆哮で、彼の名を呼ぶことはなくなった。 三位一体が崩れても、栄光=x=死の式はそのまま残ることになる。 三島が「死」…

三島由紀夫『午後の曳航』第一部 夏

マドロスのドラマだが、登場人物がそれを否定したがっているという面白さ。 登が母の部屋をのぞき見ることから物語は始まる。三島は「のぞき見」が好きなのだろうか。『暁の寺』でも本多が中年女性とシャムの少女のレズセックスを「のぞき見」をしていた。『…